一門会

私の通っている大学院は、(研究科の性格上も関係してか)海外からの留学生が非常に多いです。そういうわけで、大学院の中も共通語が日本語のコースに加えて共通語が英語で入学と卒業が半年ずれる、要するに海外の年度スケジュールに合わせた留学生向けのコースがあります。

もっとわかりやすく言えば、同じ研究科で講義もゼミも同じやけれども通常は日本語のコースと英語のコースでうまく分けられている、という感じです。

昨日は、私が所属するゼミで新入生の歓迎会を開いていただきました。日本側の先輩方は私に限らず同期のみんながよくお世話になってる方々ばかりなんですが、言わば一門勢ぞろいするのは今回が初めて。

留学生コースに所属している皆さんは、経歴を聞くと某国の官僚だったり中央銀行の職員だったり母国の大学の先生だったりとまぁあいた口が塞がらないほどの偉い方ばかりで、将来この分野で仕事をしようものならどこかで重要なコネクションになる…というような新卒者にはドキドキものの集まりでもあるわけですが、それは置いといて楽しい時間を過ごすことができました。

印象に残ったのが、一門の中で一番弟子くらいにあたる人の言葉。研究者が犯してはいけない2つの誤りについて。

�中途半端に理論を使っただけでは、あとで大きなしっぺ返しを食らう
�かと言って誰もやったことのないような未知の領域を極めようとすると、誰も理解できないマニアックな研究となってしまう


ということ。

研究者の仕事というのは、研究の成果をいかに現実の世界に還元するかに尽きると思うんです。そういう意味で理論ばかりを突き詰めてもそれが現実の社会から乖離してしまっては意味がない。かと言ってベーシックな理論を中途半端に詰め込んだだけではそれまでの膨大な研究に対して全く歯が立たない。

その先輩は、理論がどのように現実の社会で活用できるか、そこに自分のオリジナリティーが加えられるとしたらどんな問題を研究すればいいかを熟慮して、今の研究につなげているということです。

私も入学したときに似たようなことを考えていたというか、そんなことがあったのでとてもためになりました。そのために今できるのは、とにかくベーシックな理論を叩き込みながら現実の諸問題に注目すること。

いい教訓です。
とにかく自分のできることからコツコツと頑張ろう。