営業活動

実は私の所属している研究科のシステムが、今年度から新しくなった。
これまでは入試の段階から専攻ごとに分かれていたものが、平たく言えば入学してどこの師匠に弟子入りするかで専攻が決まる、という(少々)ややこしいものになった。

今年入学してきた後輩の総数は、私の同期の総数よりもずっと多い。
ただ、こういう事情なので、いわば専攻の「営業活動」をしなければならない。

入学式当日に開催されたオリエンテーションで、私の所属する専攻の会場に現れたのは入学者の2割弱程度。
同じ専攻が全体の4割程度を占めている私の世代と違って、明らかに減少している。
まぁ、他の専攻でかなり人気のところがあるらしい。
人気の偏り具合で、今年の新入生がどういう志望をしているのかが見えてくる。

数少ない後輩の話を聞いている中で、必ず出てくる言葉が「開発」という言葉。
すごくありふれた言葉なんやけど、漠然としすぎていてつかみづらい言葉でもある。

労働、環境、人口、産業、貿易、分配…
「開発」にかかわる諸問題を取り上げたら、きりがない。
経済学というツールを使ってこれらの問題を考えることが求められるけれど、ただ闇雲に「開発を勉強したい」と言われて大学院に進学しても途中で何をしたらいいのかわからなくなる。
当然のことやけど、学部時代のように色んなことに顔を突っ込んでいると、時間的制約によって本人が苦しむだけである。

ありがたいことに、「開発経済学」という分野が経済学には存在する。
少なくともこれに関連した書籍を読んで、自分に合った研究ネタを見つけられたらな、と先輩として思う。