ポール・クルーグマン氏にノーベル経済学賞

(筆者注:あくまで学生時代の浅はかな研究に基づく極めて個人的な視点で執筆していますので、経済学的視点でのフォローは歓迎しますが反自由貿易的視点からの反論(誹謗・中傷含む)はお断りします。)

Paul Krugmanが今回ノーベル経済学賞を受賞するきっかけとなった、1991年発表の論文は、僭越ながらも私の学生時代の研究に多大な影響をもたらした。

同時に、学生時代を経て社会人に至るまで、私が勝手に抱いている経済学的視点による世界観は、彼の論文がベースになっている。

受賞理由にもなった、比較優位の差異に求められた従来の貿易理論を、収穫逓増と生産拠点の集約化を求める貿易理論へと昇華させた彼の研究は、グローバリゼーションの進行に伴う世界経済の変化を(あくまで個人的な意見だけれども)最もわかりやすく解説していると私は考えている。

また、同じ論文でKrugmanは、世界的な自由貿易体制の確立を地域統合のシュミレーションに基づく根拠を用いて論じ、欧州(EU)、北米(NAFTA)、アジア(ASEAN日中韓)の3極に集約されつつある現実の自由貿易政策に疑問を投げかけたのは大きい。

(もちろん、論文の発表から10何年も経過しているのでシュミレーションを再考する論文は発表されているんだろうけど。)

最近では反ブッシュの論客としても有名であるけれども、同じ自由貿易を研究している人間として、最も尊敬している研究者の今回の受賞は、大変喜ばしいものがある。